家、保険と並んで車は三大高額商品と言われています。そんなものだから、
「少しでも安く購入したい!」
と思われるのは当然であると思います。
でも……
「実際に交渉するのは苦手だ・・・」(特に若い方は)
という方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
今回そんな方のために元自動車販売会社に勤務していた私が購入の際の値引き交渉のやり方やコツ、ヒントをほんの少しではございますが、できる限り車を安く購入できるをお伝えさせていただけたらと思います。
元自動車販員が教える交渉のコツ【手間を惜しまないこと】
車を安く購入する方法はいくつかありますが、まず一番大事なものは手間を惜しまないことです。
もちろん手間を省いて安く購入できれば一番良いですし、実際に仲の良いお客様などの場合は営業マンがなあなあで安くしてくれることもありますが、これは希です。
いくら仲が良くてもディーラーも利益を少しでも残そうとするので、値引きというのに慎重になるお店が大半です。
じゃあどのように手間を惜しまなければ良いのか。それを次からご説明させていただきます。
元自動車販員が教える交渉のコツ【複数店舗を回る】
この【複数店舗を回る】という行為は値引きをしてもらう上で重要なものの一つであり、惜しんでは行けない手間の一つです。
そもそも自動車を購入するときには複数のメーカーを比べることが多々あります。ディーラーが違えばもちろん値引きの額もまちまちですがそれらを比べることによってどこが条件がいいのかがわかりますし、値引きが大きかった方の見積もりを小さかったお店に持っていくと、もっと値引きをしてくれるということも決して珍しいことではないのです。
では、どのように複数の店舗をまわればよいか?
元自動車販員が教える交渉のコツ【車種・メーカーを決めていても複数回る】
意外と知られていないことですが、自動車ディーラーというのは看板は同じでも、会社としては全くの別会社であるということが珍しくありません。
例えば山口県と福岡県にМ社のディーラーがあります。
これらももちろん看板は同じですが、全くの別会社ですので、同じ車でも条件が違うことが殆どです。
たとえ欲しい車種があったとしてもお店によっては更に値引き金額を上乗せしてくれる場合もあるので車種を決めていても複数の店舗を回ったほうが安く買える可能性が高くなるのです。
元自動車販員が教える交渉のコツ【時期を見定めて】
車だけに限った話ではありませんが、決算前となるとどのお店も少しでも売上を伸ばしてなんとか目標達成したいと思うものです。
車の場合は特にそれが強く、決算前などは普段では絶対にしないくらいの値引きをぽんとしてくれることがあります。
自動車販売会社の場合、ほとんどの会社が前期決算が9月、通期決算が3月となっているので、その月及びその前月などは特に大幅値引きのチャンスです。
正月にCMなどに釣られて車を買おうとしている方などは特にもう少し待ったほうが車を安く買える可能性が大といっても良いでしょう。(逆に正月はあまり値引きはしてくれません。)
元自動車販員が教える交渉のコツ【ディーラーを見定める】
値引きとは少し違うかもしれませんが、ディーラーではスタッフの接客態度などにも注意しましょう。
車は買ったら終わりではなくそれからも整備などで長い長いお付き合いがあるので、安く買ったはいいけど
その後のアフターフォローがいい加減でうんざりという例も少なくありません。
そういったところも確認しておくのも大事です。
特にお店によっては未だに安く売ってやったのだからいいだろうという考えで応対するお店も残念ながら存在しています。
決して安い買い物ではないのでそちらの方も気を使っていただけたらと思います。
元自動車販員が教える交渉のコツ【下取り査定額を調べる】
ディーラーで購入する場合車はディーラーに下取りという形になることが多いかと思いますが、これは損をする可能性があります。
特に他社の車に乗っている場合はその可能性が高いです。
ディーラーは下取りした車を自社の中古車部門などでもちろん販売しますが、他社の車を売るのが難しいことが多いため、他社の車を若干安く下取ることがあります。

元自動車販員が教える交渉のコツ【見積・諸費用を確認する】
ディーラーで見積もりを出してもらうと、諸経費の欄で結構金額がかかっていることがありますが、その大半はちょっと工夫をすれば必要のないものが結構あります。
例えば納車費用、これはご自宅まで納車に行った時に掛かる費用ですが、そもそも車を持っていくだけだしそれだけで1万くらいどこのお店も見積に入れています。
これを店頭納車にすればこの費用は必要ありませんし、車庫証明提出費用などもネットなどで調べて自分で書いて提出すればいいのです。
これだけでもおそらく2、3万は経費が浮くはずです。
元自動車販員が教える交渉のコツ【見積もりは下取りありと無しの分を両方もらう】
ディーラーがよく使う手口ですが、例えば値引きが15万で下取りが40万だったとします。
でも見積には値引きを30万にして下取りを25万にして値引きの額を大きく見せるようにするのです。
また値引きの幅を残すために査定額を低く出すこともよくあります。
それを見破るためにも実際値引きはどのくらいなのかというのを確認する必要があるので、見積もりはあり、なしの両方を出してもらうとよいでしょう。また先にも述べましたが下取りの査定額をよそで調べておくというのも大事です。
元自動車販員が教える交渉のコツ【時間に余裕を持つこと】
今すぐ決めたいからいっぱいいっぱいの金額を出して欲しい。
というお客様がいらっしゃいますが、これは逆効果になる可能性が高いです。
なぜならこういったお客様に対して営業マンは「購入を急いでいるから最大まで値引きをしなくともこの人は買う」と思わせてしまうからです。
足下を見られると言う事です。
それよりも長い時間をかけてじっくりと値引き交渉をして行くほうがスタッフに対しても「この人はなかなか首を縦にふらないからもう少し値引きを伝えてみるか」という気持ちになりやすいのです。
元自動車販員が教える交渉のコツ【根気強く値引きを交渉する】
ディーラーは少しでも多くの利益を残そうとしますが、何度も何度も粘り強く値引きを迫ってくるお客様に対しては大幅値引きをしてでも販売するのに対して値引き交渉を強くしない方は気持ち程度の値引きしかしてくれません。
正直なところ、言ったもん勝ちといってもいいのが値引き交渉のコツのひとつでもあります。
とにかく食い下がって食い下がって自分の希望に少しでも近づけるように交渉する。これが大事でしょう。
それができない人は兄弟や親や友人などに一緒についてきてもらうというのもひとつの術です。
元自動車販員が教える交渉のコツ【打ち切りを提案してみる】
これはどういうことかというと、これ以上出せないという営業マンに対して「それなら話になりませんので失礼いたします」と行って交渉の打ち切りを伝えるのです。
本当にこれ以上無理であるというのであれば営業マンもそのまま引き下がるでしょうが、もしまだ値引きの余地があるのならあなたを引き止めてくれるはずです。
そうすれば儲けもので、更に値引きをしてくれる可能性が高いでしょう。
昔は逆に営業マン側から打ち切りを言われ、お客が呼び止めてそのまま納得してしまうというやり方があったそうですが、今はどちらかと言うと客側の方が強いと思うので、行き詰まった方は試してみてください。
元自動車販員が教える交渉のコツ【在庫車の確認】
家電屋などで売れ残りの家電が格安で売られているように車にもそのようなものがある場合があります。
モデルチェンジ前の車が残っていたり不人気な色の車が残っていたりと理由は様々ですが、ディーラーはそれらを出来るだけ早く売りきりたいという気持ちが強いのでかなりの値引きをしてくれる可能性が高いです。
ただしこれらのものはいつもあるというわけでもありませんし、
もちろんモデルチェンジ前のものですので一つ古いモノになります。それでも構わないという人はいいかもしれません。
元自動車販員が教える交渉のコツ【営業マンと仲良くなる】
営業マンも人間ですので、いくらお客様といっても横柄な態度の人などにはあまり値引きも含めて親身にしたくないと思っています。
逆に営業マンを褒めたりなどして仲良くなったお客様に対しては他のお客様にはしないような値引きを提示してくれたり、オプションのプレゼントなどをサービスでしてくれたりする人もいます。
「君の熱意が伝わってきたので、すまないがもうちょっとだけ頑張ってもらえないか」などというと営業マンも頑張ってくれるものです。
また、交渉もスムーズに流れていくでしょう。
元自動車販員が教える交渉のコツ【いきなり「責任者呼んで」は×】
価格の決定権というのはあくまで店長などの責任者にありますので、直接そういった方と交渉したほうが値引きの金額は大きくなる可能性が高いのですが、だからといっていきなり「店長呼んで」などといってしまうとかえって営業マンやそこの店長などの印象も悪くしてしまい、逆に定価などで見積もりを出されて相手にされない場合があります。
まずは最初に応対してくれた方から話を聞いて値引き交渉を行い、最後に、
「もうちょっと頑張ってもらいたいから、よかったら店長などと一緒にお話させて頂けませんか」
などというといいでしょう。
元自動車販員が教える交渉のコツ【値引きはネットで事前チェック】
今はインターネットなどで大体どのくらい値引きがあるのかというがわかります。
欲しいクルマのそれをあらかじめ覚えておいてディーラーに行き見積に記載されている値引きの額があまりにもかけ離れていたらそれは本気になっていない証拠ですので、それを下に交渉をしてみましょう。
金額も大幅にアップになると思います。
ただしインターネットでの値引きはもともと店頭での値引きからかけ離れているものも多く、信ぴょう性の
薄い情報もありますので、「インターネットではこのくらい値引きって書いてあったんだけど・・・」と
一言言うくらいがよいでしょう。
元自動車販員が教える交渉のコツ【モータース店を利用する】
これは主に軽自動車を購入する方向けのやり方です。
町の整備工場などでは多くのところで整備だけでなく車も購入することが出来ます(スズキなどは正規ディーラーよりもモータースなどでの販売の方が多いとも言われています)
そういったところは個人商店のようなところが多く、お店によってはかなり値引いてくれるところもありますので、もし近所などにそういったお店がある場合は、正規ディーラーと合わせてそちらも尋ねて見るとよいでしょう。
元自動車販員が教える交渉のコツ【友達に紹介してもらう】
例えば車を持っている友人がいたとします。
その友人が車を買ったディーラーに一緒に行き、その友人にあなたを紹介してもらうのです。
紹介されたことによってディーラー側もその紹介のお礼という意味も込めて、他のお客様よりも多く値引きをしてくれる可能性が高いです。
もし欲しいクルマのメーカーが友人が乗っているクルマのメーカーと同じということであれば、ぜひ紹介してもらうとよいでしょう。
またそれによって友人にも少しの紹介料が入る可能性があるので、友人にとってもありがたいと思います。
元自動車販員が教える交渉のコツ【カーナビはショップで】
車を買う際は一緒にオプションを勧められると思います。
その中で最も高いオプションといっても良いカーナビですが、これは車を買ったあとからショップなどで購入したほうが安上がりとなる可能性が高いです。
ディーラーでもナビは扱っていますがこれらは結構高額(特にメーカーオプション)の場合が多い+取り付け工賃もまあまあしますので、それよりはオーディオレスで購入してあとでカーナビだけ買うといったほうが商品も工賃も安く抑えることができるでしょう。
元自動車販員が教える交渉のコツ【最後に……】
私は以前ディーラーで4年半ほど働いていて、様々なお客様と価格交渉を行っておりましたが、その体験談として値引きの額が大きかったお客様は皆さん「情報」を持っていました。
車の値引き額や下取り価格の下調べで得た情報をもち、それを根拠に値引きを迫ってくるのです。
それがあるのであればこちらとしても値引きをせざるをおえませんでした。
逆を言えば何も知らずに店にやってきた人はあまり値引きをしなくても買ってくれたのでやりやすかったです。
今は様々なところから情報が得られますので少しでも多く値引きをして欲しいという方はその分しっかりとそれらの情報を集めることが大事だと思います。
5年ほど某正規ディーラーに勤務していたものの感想です。